第1テーマ「化学反応を見える化しよう!」の内容

ジュニアドクター育成塾第1テーマ「化学反応を見える化しよう!」を,2018年7月1日に愛媛大学で実施し,受講生と保護者をあわせて約80名がルミノールを利用した化学発光を行い,化学反応について考えました。

1 注意力を測ろう!
科学とは,自然を観察して新たな法則性を発見する学問ですので,観察における注意力は重要です。そこで,まずは注意力を測定する動画を視聴しました。

あなたも体験してみてください。

この動画はとても有名なので知っている人もいるかも知れませんね。動画を視聴後に,注意力について話し合いました。見えるはずのものが見えないとするなら,自然現象を観察しても発見をすることができません。この動画で「見えた」としても,あなたにも「見えない」ものはあるのです。それは,もしかすると,あなたにとってとても大事なものかもしれません。だからこそ,話し合い,あなたに見えないものに気づく必要があるのです。

あなたも体験してみてください。

どうでしたか? この動画は何度も利用していますが,これまで答えを知らずに気づいた人はいません。

以上から,2つのことが言えます。
・予想していないことは気づかないことがある。
・ゆっくり変化するものは気づかない。

1-1 「孤独な」変人ではいけない


話し合い,知識を共有することで,見えないものを「見える化」する必要があります。予想できないことには気づかないものです。しかし,新たな発見をするためには,予想し得ないことに気づかなければなりません。そのため,科学者は学会や論文発表して話し合い,相互に「見える化」を行っています。科学者は孤独な変人ではないのです。

1-2 記録を取る


ゆっくり変化するものに気づくためには,詳細な記録が必要です。詳細な記録を比較することで,はじめて変化が見えてくるのです。たとえば,新元素ニホニウムを発見された森田浩介先生は実験で「気温や湿度も含めてできるだけ詳細に記録を取り,そのデータを比較することが大事だ」と言っています。誰にでも再現できるような詳細な記録を作ることが重要です。

2 化学発光を行おう!


化学発光を行って,化学反応の不思議を「見える化」しました。
ルミノール溶液に,ヘモグロビン(牛血液),フェリシアン化カリウム,蒸留水を同じ量加えてときの発光の強度,時間,発熱を調べました。ヘモグロビンは長く発光し,フェリシアン化カリウムは短く強く発光します。蒸留水は発光しませんでした。ここで,重要なのは蒸留水です。なぜ蒸留水を入れる必要があるのでしょうか。それは『水溶液が反応している』という可能性を除くためです。科学では条件を比較することが重要です。
つぎに,エオシンYとフルオレセインを加えたルミノール溶液に,フェリシアン化カリウムを加えました。エオシンYでは弱くピンク色,フルオレセインでは長く強い黄色に発光しました。
実験で化学発光の性質を確認した後,チームごとに目標を決めて,化学発光について探究を行いました。
※本プログラムでは,ルミノール反応実験キット(富士フィルム和光純薬株式会社)を利用しています(個人で実施したい人は『実験くん 血液反応キット(林ケミカル)』が市販されています)。

3 化学発光を使って探究する


化学発光を利用して,5つの未知試料から,ヘモグロビンとフェリシアン化カリウムを「見える化」しました。
AからEまでの5つの試料があります。このなかに,ヘモグロビンとフェリシアン化カリウムが混ざっています。まず見た目だけで予想し,そのあとに実験で確認を行いました。
ルミノール溶液を滴下すると,化学発光の有無で判別できるのです。これが犯罪捜査に利用される化学発光です。目に見えなくとも,そこに血液があれば発光で確認できますし,また似たような色であっても血液かどうかを区別できます。
そう,化学発光は『目に見えない』原子や分子を『見える化』してくれるのです。

4 わからないからこそ『楽しい』


科学は,わからないことを楽しむ学問です。
最先端の科学でも,世界には解かれていないナゾがたくさんあります。学校の勉強では『正解』がたくさんあると思うかもしれませんが,科学者にとってはこの世界はナゾに満ちた『未知』の世界です。
だからこそ科学者は『わからない』ことを『知りたい』と考えます。これが科学者にとっての原動力,研究テーマです。科学者にとっては,わからないことこそ『楽しい』のです。

化学発光を使って,親子で科学の不思議を探究しました。

<こちらも合わせてご覧ください>
第2テーマ「頭の中を見える化しよう!」(2018/7/15)の内容