No.008 栗木一郎(東北大学 電気通信研究所 准教授)

ジュニアドクター育成塾愛媛大学第7テーマ

2019年1月13日(日)のジュニアドクター育成塾愛媛大学第7テーマは「視覚情報への言語の影響を見える化しよう 」!

見え方が違うのか、表現の仕方が違うのか。
緑色の信号をなぜ「青信号」というのか、 子どもの頃に一度は疑問を持ったことのある 人もおおいのではないでしょうか。

今回の科学プロ図鑑は、色に関する脳科学について講義をしてくださった東北大学 電気通信研究所 栗木一郎准教授にご登場いただきます。

【目次】
1 子どもころはどんなことに興味があった?
2 子ども時代の将来の夢は?
3 なぜこの仕事をするようになった?
4 今の仕事を選んだ理由は?
5 今の仕事の分野は?
6 仕事をしていて一番嬉しい瞬間は?
7 仕事をしていて一番大変だと思うことは?
8 同じ仕事を目指している子どもたちに,いま頑張ってほしいことは?

ジュニアドクター育成塾愛媛大学第7テーマ

1 子どもころはどんなことに興味があった?

 なんですかね…理科化学全般に興味はありましたけど、中学校2年で眼鏡を作る時に遠視ということがわかって、眼について調べて夏休みの自由研究で提出したぐらいですかね。あとは特に特徴のあることはしてなかった。理科系の分野は好きでしたね。数学はあまり好きではなかったですけど(笑) 

2 子ども時代の将来の夢は?

 途中でコロコロ変わってはいたんですけど…父親が大学の先生だったんですよ。だからそれをずっと見てたので…ただまあ理系の何かの仕事に就くだろうと思っていて。でもはっきりとした職業の目標は決まっていなかったです。

はっきり目標が定まったのは中学後半から高校ぐらいですね。航空工学をやりたい、航空工学というか流体力学をやりたい、と思って。飛行機をデザインしたり設計のための計算をしたり、そういう仕事をやりたいと思っていました。きっかけは零式艦上戦闘機(通称:ゼロ戦)の設計をした人の話を読んだことです。チームで手分けをして一つの大きなものを作りあげるという、そういうスタイルの仕事は沢山あると思うんですけど、その結果空を飛ぶものができるというのはすごく夢があっていいなと思って。地上を這っている物よりかは空を飛んでいる物の方がいいなと思ったので、飛行機をやりたいと思っていました。

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3 なぜこの仕事をするようになった?

  大学に入って航空学科に進学すれば飛行機を設計する仕事があるだろうと思っていたら,航空学科の卒業生の方に日本にはそういう産業はないよと言われて。じゃ,卒業後はどういう進路に進むんですか、と聞いた時に発電用の蒸気タービンの研究や車のボディの設計をやっているんだよと言われて、正直戸惑いました。このまま進んでも自分のやりたいことはできないと思った時に、改めて自分は何に興味があるだろうかと一年くらいずっと悩んで(笑)最終的に脳に関することをやりたいと思いましたね。ちょうどその頃ニューラルネットワークという神経回路の研究が出てきて、脳を計算機上で再現するとかそういう話が出てきていたんです。でもそれは計算機の上での話なので本物の話ではないためすごく整理されて綺麗なんですよ。でもそれだけでは本物のことは分からないと思ってこっちの分野に足を踏み外したという感じですね(笑)

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4 今の仕事を選んだ理由は?

  一時期NTTの基礎研に勤めていたことがあるんですけど、企業の研究は目に見える成果を定期的に出さなければいけないんです。特にNTTの研究所は常にホームランを打つことが期待されていた感覚ですね。それがすごくプレッシャーになっていて。もっと時間をかけてじっくり研究したいのにこの時までに成果出さないといけない、ということが時々あって、やっぱりそういう部分では大学の方が自由だな、と。NTTの方が研究資金は潤沢だったんですけど、お金は保証されないけど仕事の自由度が高い方を選びました。

5 今の仕事の分野は?

何学ですかね…境界領域なので正直わからないです。大学の講義では数値計算などを教えているんですけど、研究自体の分野が何かといわれたらわからないですね(笑)

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6 仕事をしていて一番嬉しい瞬間は?

大学教員としてという意味では、卒業生が立派に成長してくれることですね。何年かたって帰ってきて、「先生の言っていたことがやっとわかりました」と言われることが一番嬉しいです。研究者として嬉しいことは、誰よりも初めに新しいことを知ることが出来ることです。それをまた他人が認めてくれて、引用してくれたりするともっと嬉しいです。

7 仕事をしていて一番大変だと思うことは?

大学教員としては、なかなか仕事が進まない学生のフォローアップが一番大変です。できる人にもっと時間を取れると、その人たちの研究指導ができてもっと花開くと思うんですけど…だからみんなまじめに仕事してねという感じなんです(笑)研究者としては、研究資金を引っ張ってくることが一番大変かな。必要最低限のお金がないと身動きがとれないんで(笑)

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8 同じ仕事を目指している子どもたちに,いま頑張ってほしいことは?

  勉強しましょう!文系・理系を問わず色々幅広く勉強してみるということは大事かなと思います。幅広く色々なことを聞き知っておくということです。

私の話になるのですが、脳活動の研究では理化学研究所という所としばらく一緒にやっていて、その共同研究の相手が中国出身の人でした。その人とは共通の中国出身の友人がいて,その友人と私はアメリカ留学中に同じ研究室に所属し,ときどき漢字でコミュニケーションしていました。ある時私が漢詩を書いて見せたらその友人がすごく喜んでくれて。そこからさらに仲良くなって、彼のおかげで脳活動の研究をしている理研の研究者を紹介してもらえました。そういう予想もしないタイミングで自分が持っている知識が効いてくる事はあると思うんです。何を知っていたらいいかは事前には分からないですが、普段から色々なことに関心を持つことが大事だと思います。

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取材者:
スチューデント・キャンパス・ボランティア
メディアサポーター出版部
写真・文 杉山未来

スチューデント・キャンパス・ボランティア公式HP:
http://scvinfo.csaa.ehime-u.ac.jp/dantai/mspt/

「何を知っていたらいいか事前にはわからない。
だからこそ普段から色々なことに関心を持つことが大事」という
栗木先生のお言葉は、これからの人生100年時代のキーワードになりそうですね。

みなさんはどのように感じましたか?

貴重なお話をありがとうございました。

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